宇宙大動乱 ( No.21 ) |
- 日時: 2021/03/30 17:56:50
- 名前: 月影桜花姫
- アルバードが乗艇する脱出ポッドも一秒間で大銀河帝国本土『エデンランド』へとワープ…。エデンランドとはテラフォーミングによって地球型惑星に改装された海水の小惑星であり大銀河帝国軍本隊の本拠地である。アルバードは無事にエデンランドへと戻ったのである。同時刻…。リベレーターズ宇宙艦隊旗艦のサラマンダーのブリッジでは乗組員達がワープ機能で撤退する大銀河帝国軍宇宙艦隊を眺望する。
「艦長!敵軍が撤退します!」 ペルフィリオは無表情で…。 「防衛作戦は成功したが…陽動作戦の囮艦隊は壊滅状態だな…」 今回の宇宙戦闘では大銀河帝国軍は大型宇宙戦艦三千三百四十八隻…。宇宙巡洋艦四千二百六十七隻と三万隻以上の小型宇宙艦艇が撃沈されたのである。一方のリベレーターズは大型宇宙戦艦二千二百四十九隻…。宇宙巡洋艦三千六百九十四隻と二万五千六百三十八隻の小型宇宙艦艇が撃沈されたのである。人的損害では大銀河帝国軍は推計八百万人もの将兵が戦死…。リベレーターズでは推計四百万人もの将兵が戦死したのである。今回の宇宙戦闘は十二月二十五日戦争と命名される。
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宇宙大動乱 ( No.22 ) |
- 日時: 2021/03/30 17:59:04
- 名前: 月影桜花姫
- 第二話
奇襲作戦 十二月二十五日戦争から三日後の十二月二十八日十六時…。大銀河帝国軍宇宙艦隊はリベレーターズの宇宙機動部隊の奇襲攻撃によって敗北してよりアルバードは非常にピリピリした様子で大総統官邸の自室にて無人兵器の資料を徹底的に黙読したのである。 (今後の戦闘では…無人兵器が役立ちそうだな…) 今迄は無人兵器の有効性は偵察以外では限定的と判断されたが…。十二月二十五日戦争により無人兵器の有用性が証明されたのである。すると何者かが自室のドアをノックする。 「誰だ?」 大柄の白人男性がアルバードの自室に入室したのである。 「失礼します…アルバード大総統♪」 大柄の白人男性はヘラヘラした様子でありアルバードは彼を直視すると余計にピリピリする。 「貴様は…【プランクリン】副総統か…」 プランクリンとは碧眼金髪の白人男性でありアルバードが唯一悪友と認識する人物である。今現在は副総統の立場であるが…。彼自身も少年時代は大銀河帝国軍の将兵であり各地の戦闘で活躍したのである。 「アルバード大総統♪ピリピリしちゃって如何されましたか♪三日前の十二月二十五日戦争は残念でしたね…」 プランクリンの発言にアルバードは小声で…。 「貴様…」 「失礼です♪失礼です♪」 プランクリンは笑顔で謝罪する。ヘラヘラするプランクリンであるが表情が変化したのである。 「訓練中の【ホムンクルス】ですが…三日後には実戦配属出来るみたいです…」
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宇宙大動乱 ( No.23 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:01:08
- 名前: 月影桜花姫
- ホムンクルスとは十五年前から開発されたクローン人間であり度重なる戦争やら内戦によって人間の将兵が不足…。クローン人間の兵士の開発が浮上したのである。今現在は推計五億人のホムンクルスが大量生産され…。即戦力として実戦に参加出来そうなホムンクルス将兵は推計五百万人である。
「彼等が実戦に参加出来れば…今後の作戦では人間の兵士は不要だからな…」 ロボット技術やら人工知能が格段に発達した近年では兵力の縮小が開始される。数年後…。大銀河帝国軍はホムンクルス将兵と人工知能搭載型兵器のみの軍事組織に変化すると予測されたのである。 「であれば今後は理想の戦争が実現しそうですな♪人間の兵士が戦闘しなくてもホムンクルスを最前線の兵士として代替出来るのですから♪」 「結局貴様の用事とは?」 アルバードが問い掛けるとプランクリンは笑顔で…。 「新型兵器の完成と開発プランが完了しました…即刻軍事工場で見物しませんか?」 「承知した…」 アルバードは無表情で承諾したのである。彼等は外出するとスカイカーで軍事工場へと移動する。三十分後…。軍事工場は首都からは非常に近辺であり 三十分程度で到着する。 「即刻完成した新型兵器を見物させろ…」 「承知しました…」 プランクリンは恐る恐るアルバードに道案内したのである。 「久方振りに見物したが…無人だな…」 軍事工場は基本的に無人であり作業用のロボットが兵器を製造する。 「最近はロボット技術の向上で人間の作業員が必要無くなりましたからね…」 近年ではロボットの普及によりあらゆる企業が管理人を一人配置するのが一般化したのである。彼等は地下に存在する宇宙船の巨大造船施設へと進入…。
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宇宙大動乱 ( No.24 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:03:11
- 名前: 月影桜花姫
- 「新型艦か…」
地下の巨大造船施設には数百隻もの宇宙艦艇が確認出来る。 「先日の十二月二十五日戦争では反政府勢力のリベレーターズによって大銀河帝国軍の宇宙艦隊が手酷く撃破されましたからね♪」 三日前の十二月二十五日戦争では当初の想定を上回る予想外の大損害により宇宙艦隊の再建が急行されたのである。 「建造中の宇宙艦隊は三日後には完成するでしょうし…一週間後には各部隊に配属させられますよ♪」 するとプランクリンは新型艦を紹介する。 「最初に紹介する新型艦は宇宙巡洋艦…『リトルヴィーナス』です…」 リトルヴィーナスとは大銀河帝国軍宇宙軍が開発した新型宇宙巡洋艦である。全長二百メートル…。全幅百四十メートルの大型巡洋艦であり総重量は推定五万トンである。兵装は口径三百ミリメートルの高エネルギー連装砲が三基装備され両サイドの片舷には光子魚雷発射機が二基搭載される。本艦の最大の利点は対空装備であり宇宙巡洋艦であるが対空パルスレーザーが合計十二基搭載されたのである。乗組員は全自動化を考慮…。通常の乗組員は三人であるが場合によっては一人だけでも操縦出来る。 「基本的にリトルヴィーナスは主力艦の護衛に利用されるでしょうね…」 アルバードは宇宙巡洋艦には無関心だったのかノーコメントだったのである。 (大総統…) アルバードの無関心の態度にプランクリンは苦笑いする。 「此奴は…」 アルバードが指差した方向には全長五百メートルサイズのドッグに確認出来る未完成の宇宙戦艦だったのである。 「宇宙戦艦なのか?建造中みたいだが…」 プランクリンとはニヤッとした表情で即答したのである。
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宇宙大動乱 ( No.25 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:05:11
- 名前: 月影桜花姫
- 「ドッグに確認出来る建造中の軍艦は久方振りの新型宇宙戦艦ですよ♪」
「新型宇宙戦艦だと?セイバードラゴンの後継艦か…」 大銀河帝国軍はセイバードラゴン級宇宙戦艦が建造されて以来…。後継艦の建造は計画されなかったのである。近年とある新兵器の開発が浮上…。とある新兵器を搭載可能である新型宇宙戦艦の建造が急遽計画されたのである。 「新型宇宙戦艦とやらはセイバードラゴンの二分の一程度のサイズだな…」 ドッグのサイズから全長は推定四百メートルサイズの宇宙戦艦であると推測される。 「ですが新型宇宙戦艦が完成すればセイバードラゴン級宇宙戦艦を上回る性能が期待出来ましょう♪」 アルバードは無表情で…。 「性能が上回っても無用の長物なら御免だが…」 「大総統…」 (本当に偏屈だな…) アルバードの発言にプランクリンは人一倍偏屈であると感じる。するとアルバードはフッとした表情で問い掛ける。 「今後の開発プランとやらは?」 「今後の開発プランは十二月二十五日戦争でリベレーターズが投入したスペースドローンに対抗出来る戦闘用ドローンの開発ですよ♪」 アルバードは十二月二十五日戦争の翌日…。軍政部に戦闘用ドローンの重要性と開発を強引に説得させ戦闘用ドローンの開発計画が実行されたのである。幸運にも大銀河帝国軍宇宙艦隊の宇宙救助船が故障により全機能停止したリベレーターズのスペースドローンを発見…。機体を鹵獲したのである。スペースドローンは機内の故障のみで全体的にノーダメージであり軍関係の技術者達は徹底的に機体を解析する。 「戦闘用ドローンの開発計画は順調みたいだな…」
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宇宙大動乱 ( No.26 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:07:13
- 名前: 月影桜花姫
- 「勿論ですとも♪機体の解析が順調に進行すれば…大銀河帝国軍でも独自の戦闘用ドローンの製造が開始されましょう…」
すると直後…。アルバードが所持する非常用の携帯式通信機が作動したのである。 「ん?通信機だと?」 アルバードは応答する。 「私だが…一体何事だ?」 「アルバード大総統!大変です!」 「貴様は【ジプリール】少将か…一体何が発生した?」 アルバードに通信した相手は少将のジプリールだったのである。ジプリールは大銀河帝国軍の帝国軍人であるが…。帝国軍人としては非常に穏健派であり強硬派の帝国軍人達とは常日頃から対立する。 「先日の十二月二十五日戦争の敗北によってリベレーターズに影響された民衆達が各惑星で暴動を発生させたとの情報です…」 十二月二十五日戦争での敗北から大銀河帝国の威厳が没落…。暴動を発生させた各惑星の住民達は民主化運動に尽力中のリベレーターズを支持したのである。軍内部からも離反した脱走兵がデモ隊に協力…。各惑星にて地上の治安部隊とデモ隊による内紛が彼方此方で勃発したのである。ジプリールはソワソワした様子であったがアルバードは呆れ果てた様子で…。 「愚民の暴走程度で報告するな…」 アルバードの予想外の返答にジプリールは一瞬黙り込む。 「愚民達のデモ隊なんて…国軍の宇宙艦隊を派遣して鎮圧作戦を開始しろ!大気圏から光子魚雷を投下すれば簡単に鎮圧出来るだろう…」 「ですが大総統…国軍の宇宙艦隊を出撃させれば大勢の民間人が…」 躊躇するジプリールにアルバードは苛立ったのである。 「数億人程度の愚民に遠慮して如何する?デモ隊の暴動程度に畏怖するなら即刻宇宙艦隊を派遣させ…奴等を沈黙させろ…」
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宇宙大動乱 ( No.27 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:09:16
- 名前: 月影桜花姫
- ジプリールは一瞬沈黙するものの…。
「承知しました…大総統…」 アルバードの命令に承諾したジプリールであるがプルプルした様子で通信を遮断させる。 「ジプリールは本当に弱腰だな…」 ジプリールを弱腰と罵倒するアルバードにプランクリンは恐る恐る…。 「ですが大総統…各地域でデモ隊の活動がエスカレートし続ければ大銀河帝国にとって非常に不都合ですよ…最悪大銀河帝国が内部分裂すればリベレーターズの思う壺でしょう…」 「であれば一日も早くリベレーターズの本土を攻略しなくては…」 同日…。暴動が発生した各惑星には六個師団の大規模宇宙艦隊が派遣され艦隊の主力艦であるセイバードラゴン級大型宇宙戦艦が各惑星の大気圏から地上を目標に光子魚雷を発射したのである。一発の光子魚雷により大都市諸共数千万人の住民達が死滅…。一度の鎮圧作戦で敵味方の合計死者数は推計十二億人を上回ったのである。同時刻…。リベレーターズの本拠地であり母星であるヘブンスター議会場では大銀河帝国軍による暴動鎮圧の情報が急報されたのである。総帥ペルフィリオの右腕とも命名される【ピルセウス】がソワソワした様子で議会場へと入室する。 「ペルフィリオ総帥!大変です!」 「ピルセイス大佐か…何事だ?」 ピルセウスとは若齢の職業軍人であり年齢は二十二歳の青年であるが階級は大佐…。非常に優秀でありリベレーターズではペルフィリオが唯一信頼する最高の部下である。 「大銀河帝国軍が自国内で発生した暴動を鎮圧したみたいですが…彼等の鎮圧作戦によってデモ隊のみならず…推計十二億人以上の非戦闘員が虐殺されたとの情報です…」
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宇宙大動乱 ( No.28 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:12:18
- 名前: 月影桜花姫
- ピルセウスが最高指導者のペルフィリオに伝達する。
「なっ!?虐殺だと!?奴等…デモ隊だけではなく自国内の国民をも殺害したのか?」 「残念ですが…本当みたいです…」 「大銀河帝国…アルバードは悪魔みたいな人間だな…」 ペルフィリオは人一倍大銀河帝国のアルバードを毛嫌いしたが…。今回のデモ隊虐殺事件から今迄以上にアルバードに対する嫌悪感が増大化したのである。 「最早大銀河帝国のアルバードは野放しには出来ない…」 ペルフィリオは一瞬沈黙するなり…。 「即刻宇宙大艦隊を準備させろ!リベレーターズの宇宙艦隊を再編制させ…大銀河帝国本土…エデンランドに宇宙艦隊を派遣…奇襲作戦を実行する…」 ペルフィリオのエデンランド奇襲攻撃の発言にピルセウスは驚愕する。 「えっ!?総帥…エデンランドへの奇襲作戦なんて本気ですか!?」 「私は当然…本気だ!」 「ですが総帥…エデンランドへの攻撃は実質自爆攻撃と一緒ですよ!ヘブンスターから大銀河帝国本拠地エデンランドを攻略するには小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地を突破しなければ不可能です…」
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宇宙大動乱 ( No.29 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:17:55
- 名前: 月影桜花姫
- 現実問題…。リベレーターズの本拠地であり自治区であるヘブンスターから大銀河帝国本拠地エデンランドを攻略するには小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地を突破しなければ大銀河帝国軍の本拠地であるエデンランドへは到達出来ない。小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地には合計十二万隻から十四万隻もの宇宙艦艇が配備され両陣営とも攻略するのは困難である。小惑星メティス基地と人工惑星プルトロン基地を突破したとしてもエデンランドには二十万隻もの大艦隊は勿論…。地上には巨大防衛兵器の存在が確認され簡単には攻略出来ない。奇襲作戦を実行すれば大多数の防衛艦隊からの猛反撃も予想され最悪大艦隊の全滅の可能性も否定出来ない。
「リベレーターズの宇宙艦隊は十二月二十五日戦争でも相当の損害ですし…こんな作戦は将兵達も国民も支持しないでしょう…最悪の場合報復攻撃でヘブンスターの滅亡も予想されましょう…」 実際リベレーターズの宇宙艦隊は十二月二十五日戦争の陽動作戦で辛勝するものの大多数の大型艦が撃沈…。大破したのである。リベレーターズも宇宙艦隊の再建に着手するのだが…。資源不足により手一杯の状態だったのである。こんな状態で奇襲作戦を強行すれば奇襲艦隊の全滅は確実であり最悪ヘブンスターの滅亡も否定出来ない。 「三日前の十二月二十五日戦争だけでリベレーターズは二万隻以上の宇宙艦艇と四百万人以上の将兵達が戦死したのです…今現在は宇宙艦隊の再建と宇宙航空戦力の再強化に尽力するべきかと…」 直後…。会議室のホログラムがピコピコッと反応したのである。 「ん?ホログラム?」 ホログラムを作動させると通信兵の立体映像が出現する。
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宇宙大動乱 ( No.30 ) |
- 日時: 2021/03/30 18:20:50
- 名前: 月影桜花姫
- 「ペルフィリオ総帥!大変です!緊急事態です!」
「緊急事態だと!?今度は何事だ?」 「味方の宇宙偵察機が所属不明の宇宙艦隊を発見…小惑星メタリックアイに接近中との情報です…」 小惑星メタリックアイとはリベレーターズが統治する小惑星でありリベレーターズにとって資源採掘の宝庫である。 「所属不明の宇宙艦隊だと?大銀河帝国軍か?」 「現段階では不明ですが…恐らくは…」 ペルフィリオは再度問い掛ける。 「宇宙艦隊の規模は?」 「宇宙偵察機の情報では…宇宙巡洋艦クラスの大型艦一隻と二十隻の宇宙駆逐艦クラスの小型艦です…」 「小規模艦隊だな…」 ペルフィリオは一息するなり…。 「小惑星メタリックアイに宇宙警備部隊の宇宙戦闘母艦一隻を派遣させ…所属不明の艦隊を駆逐せよ…」 「承知しました…」 宇宙警備部隊は主力のレヴィアタン級宇宙戦闘母艦一隻で出撃したのである。レヴィアタン級宇宙戦闘母艦はワープ機能を作動させるとヘブンスターから推定百四十光年に位置する小惑星…。メタリックアイの存在する宙域へと到達したのである。リベレーターズの宇宙警備部隊は所属不明の宇宙艦隊と遭遇するのだが…。所属不明の宇宙艦隊は交戦の意思は皆無であり救難信号を発信したのである。彼等は数千人もの難民達を乗艦…。大銀河帝国軍を見限り祖国である大銀河帝国から亡命した脱走兵艦隊だったのである。当初はヘブンスターでも混乱するも脱走兵艦隊の脱走兵は捕虜として扱われ難民達は無事に保護される。
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桜花姫〔第三部〕新規キャラクター ( No.31 ) |
- 日時: 2021/04/03 22:52:14
- 名前: 月影桜花姫
- 【魍魎姫】人工妖女
【分裂体】人工妖女 【野苺姫】妖女 【アクアキルケー】魔女 【霊亀獣】神族 【狐仙鬼】神族
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.32 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:26:08
- 名前: 月影桜花姫
- ジャンル
ディーゼルパンク
世界観 近代風異世界
登場戦艦 『桜花姫』 諸元 正式名:超弩級戦艦桜花姫 所属:大和神郷国海軍国防艦隊 建造所:西方国造船所 艦種:戦艦 起工日:天地暦4990年12月25日 進水日:天地暦4992年4月7日 就役日:天地暦4992年7月16日 全長:300m 全幅:50m 全高:60m 総重量:70万t 全速力:24ノット 全出力:30万馬力 航続距離:無限海里 有効射程:130km※主砲 乗組員:200人 兵装 800mm連装砲:2基 120mm連装砲:4基 30mm対空機関砲:12基 爆雷投射機:2基 艦載機:2機 装甲 主砲装甲:990mm 舷側装甲:750mm 甲板装甲:520mm 装甲材質:牢固石 動力炉:特殊無限機関
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.33 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:31:32
- 名前: 月影桜花姫
- 第一話
超弩級戦艦 千年以上大和神郷国を牛耳った東方国鎮守府であるが革命派の新政府軍との大戦により敗退…。解体されたのである。長年平和だった安穏時代も産業革命により強大化した異国に影響されて終焉…。大和神郷国は武士の時代から近代化の維新時代へと突入する。文明開化により東方国中心街には洋式風の建造物は勿論…。近代化の象徴である蒸気機関車が国内の線路を走行したのである。安穏時代が終焉してより六十年後の初春…。一人の海軍将校が西方国に増築された造船所へと訪問する。 「島国の大和神郷国にこんなにも目覚ましい造船所が増築されたか…」 巨大造船所を直視するなり海軍将校は感心したのである。六十年前は屈強なる侍達によって牛耳られた大和神郷国であるが…。革命派の維新志士達の尽力により世界全体を牛耳る列強にも対抗出来る富国強兵を実現化させる。若齢の海軍将校は恐る恐る造船所へと潜入するなり…。 「なっ!?」 造船所内部の光景に驚愕したのである。造船所内部には最新型の無数の小型船は勿論…。建造中の巡洋戦艦と大型戦艦が複数確認出来る。 「大和神郷国でも国産の戦艦を拝見出来るとは♪」 海軍将校は大喜びする。十年前は超大国から購入した軍艦ばかりであったが大和神郷国でも独自の巡洋戦艦は勿論…。大型戦艦の建造が実現化したのである。海軍将校にとって造船所で建造中の大型戦艦は非常に華美であったが…。一番見惚れたのは中心部の超弩級ドックに確認出来る規格外の超弩級戦艦だったのである。超弩級戦艦は建造中の戦艦では最大級のサイズであり一隻だけで通常の戦艦三隻に相当する。 「未完成の超巨大戦艦の艦名は何だろうか?」 海軍将校は恐る恐る作業中の作業員に問い掛ける。
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.34 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:36:15
- 名前: 月影桜花姫
- 「大佐ですか?」
作業員は返答する。 「今現在超巨大戦艦の艦名は未定ですよ…」 「未定なのか…」 海軍将校は内心ホッとしたのである。すると海軍将校は恐る恐る…。 「私の提案なのだが…最新型の戦艦の艦名は超弩級戦艦…桜花姫なんて…如何かな?」 「えっ!?」 作業員は海軍将校の突発的発言に驚愕したのである。 「桜花姫って…安穏時代に実在した伝説の女神様の名前でしょう?大佐…冗談ですよね?」 「えっ…」 海軍将校の発想に作業員はハッとする。 「ひょっとして大佐は本気だったのですか?」 「まあな…」 「ですが桜花姫って人名ですよね?実在の人物の名前を軍艦の艦名に採用出来るのでしょうか…」 作業員は恐る恐る海軍将校に質問したのである。 「大佐は如何して超巨大戦艦の艦名を桜花姫と命名されたいのですか?」 海軍将校は一息するなり…。 「伝説の月影桜花姫様…彼女は地上界の女神様であり…大和神郷国に蔓延った極悪非道の妖怪達を摩訶不思議の神通力で浄化され…大勢の村人達を守護された温厚篤実の女神様だからな♪」 安穏時代中期に活躍した月影桜花姫は大和神郷国の伝説的人物として伝承される。桜花姫の死因は不明であるが彼女の死後…。桜花姫は本物の女神様として大勢の村人達から神格化され今現在でも一部の国民から崇拝されたのである。 「桜花姫様は無数の妖怪達から村人達を死守された温厚篤実の女神様だぞ!強大なる列強から祖国を死守する主力艦として…月影桜花姫様の名前は相応しくないか♪」 (大佐…)
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.35 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:42:24
- 名前: 月影桜花姫
- 作業員は苦笑いする。
「俺としては別に艦名が桜花姫でも構いませんが…軍政部には猛反対されるでしょうね…」 海軍将校は瞑目するなり…。 「一か八か軍政部に意見するか…」 海軍将校の発言に作業員はハッとした様子で反応したのである。 「えっ!?大佐…本気で軍政部に意見するのですか?」 海軍将校は即答する。 「勿論だとも!俺は本気だ…」 海軍将校は即座に東方国中心街に設置された軍政部本拠地へと驀進したのである。 (大佐は頑張るな…) 作業員は沈黙した様子で海軍将校を凝視する。当日の夕刻…。軍政部に到達した海軍将校は即刻最新鋭の超弩級戦艦の艦名を提案したのである。当初は軍政部に猛反発されたが海軍将校の熱望により一週間後…。念願の新型超弩級戦艦の艦名は超弩級戦艦『桜花姫』と正式決定されたのである。
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.36 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:44:24
- 名前: 月影桜花姫
- 第二話
議会 西方国の造船所にて建造中だった超弩級戦艦…。桜花姫は三年後の桜花爛漫の時期に完成する。桜花姫は大和神郷国海軍最強の超弩級戦艦であり艦体の全長は三百メートルで全幅五十メートルの超巨大戦艦である。総重量は前代未聞の七十万トン規模であり大和神郷国海軍は勿論…。全世界でも最大級の超弩級戦艦である。本艦の第一の美点である装甲は牢固石が全面的に使用され列強の現存する従来型戦艦の主砲では桜花姫の装甲は貫通出来ない。何よりも牢固石は未知なる鉄鉱石であり千数百年前の戦乱時代に使用された名刀霊斬刀は今現在でもピカピカである。牢固石の不朽性から桜花姫のメンテナンスは比較的不要であり維持費も最小限化させられる。桜花姫の第二の美点は砲撃戦である。桜花姫に搭載された主砲は口径八百ミリメートルの超弩級連装砲を二基搭載…。一撃でも桜花姫の巨大砲弾が直撃すれば直撃した水上艦は一撃で撃沈出来ると推測される。海中の潜水艦に対応出来る爆雷投射機を二基設置…。対潜兵器も装備される。本艦が建造された経緯として大和神郷国は資源不足であり牢固石を除外する金属類は僅少だったのである。自国では数多の大陸を牛耳る列強みたいには多数の大型戦艦は建造出来ない。以上の理由から鉄壁の装甲と絶大なる艦載砲を搭載…。一隻だけで一国の海軍力に匹敵する超弩級戦艦の建造が定案されたのである。余談であるが桜花姫は全長三百メートルサイズの艦体であるが乗組員は二百人と少人数であり豪華客船に匹敵する居住設備やら小規模の娯楽施設は勿論…。和菓子屋の売店が設置される。
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.37 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:46:36
- 名前: 月影桜花姫
- 天地暦四千九百九十九年四月七日…。超弩級戦艦桜花姫の進水日と同日の真昼…。極東の後進国は列強の軍勢により侵略されたのである。極東で唯一侵略されなかったのは大和神郷国のみであり列強は大和神郷国の地中に埋蔵する天然資源…。牢固石確保を念頭に最後の標的である大和神郷国侵攻作戦を計画する。列強からの侵略を危惧した大和神郷国海軍は早急に推計五万人の兵力を確保…。大規模艦隊の突撃艦隊と小規模艦隊の国防艦隊を編成したのである。大規模の突撃艦隊には主力である高速の巡洋戦艦を五隻…。三十四隻の駆逐艦が配備される。大規模の突撃艦隊は遠方に位置する海洋での任務がメインである。小規模の国防艦隊には旗艦の超弩級戦艦桜花姫…。護衛の駆逐艦二隻と砲艦四隻…。警備用の魚雷艇が十六隻配備される。小規模の国防艦隊は沿岸の防衛がメインであり海洋での活動は実質皆無である。当初は超弩級戦艦の桜花姫を主力艦として突撃艦隊に配備される予定であったが…。本艦の速力は非常に鈍足であり軍政部からは領海の巨大移動要塞が適任であると判断されたのである。
「畜生!桜花姫は世界一の超弩級戦艦なのに最前線には投入出来ないなんて…宝の持ち腐れだろ!」 技術者達は勿論…。現場の水兵達も非常に残念がる。 「桜花姫は速力が鈍足だからな…」 桜花姫は特殊無限機関が搭載された唯一の水上艦であるものの…。最高速力は二十四ノットと低速であり三十ノットで航海出来る巡洋戦艦の速力と比較すると一段階鈍足だったのである。
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.38 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:49:03
- 名前: 月影桜花姫
- 「特殊無限機関は燃料の補給は不要だが重量は過多だしな…」
特殊無限機関とは同盟国のパシフィス共和国が最先端の科学技術を駆使して開発した試作型特殊動力炉であり燃料を補給しなくとも無限に稼働させられる。所謂海水を利用した水力発電機である。海水を利用した無限の出力により特殊無限機関は万能の神器と神格化される反面…。搭載出来るのは大型艦のみに限定され一基製造するだけでも大和神郷国では国家予算全額に相当する。重量は過多であり桜花姫の速力にも影響したのである。 「軍政部の命令は絶対だからな…」 桜花姫の乗組員達は不本意であるが軍令部の命令を承諾する。桜花姫の進水日から一年後…。世界の工場地帯とも呼称されるパシフィス共和国は列強の一員であり軍事大国であるが世界一先進した国民主権の国家である。パシフィス共和国は列強では唯一の大和神郷国の同盟国であり大和神郷国に最新式の軍備を提供したのもパシフィス共和国である。天地暦四千九百九十三年四月二十日…。パシフィス共和国国会議事堂ではパシフィス共和国政府による議会が開催される。 「本日の議題ですが…諜報部隊の情報源によると近頃敵国のメトランティス帝国は極東への勢力拡大化を加速中だそうです…」 メトランティス帝国とは世界一の軍事大国と畏怖される大帝国である。絶大なる軍事力を保有する超大国であり多数の領土を所持…。属国を統治したのである。軍事力のみなら大和神郷国の同盟国であるパシフィス共和国をも上回る。パシフィス共和国は陸軍所属の諜報部隊をメトランティス帝国本土に派遣させ情報を確保したのである。 「メトランティス帝国を放置し続ければ大和神郷国が侵略されるのも時間の問題でしょう…」
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.39 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:51:58
- 名前: 月影桜花姫
- パシフィス共和国大総統が問題を発言すると差別主義者の政治家達が苦笑する。
「大総統は神経質ですな…別に気にされなくても♪」 「所詮大和神郷国とやらはパシフィス共和国の属国であり…一人では何も出来ない田舎町の小国ですよ♪メトランティス帝国が侵略して属国化させたとしても正直足手纏いでしょう♪」 「極東の小国が侵略されたからって…パシフィス共和国とは無関係なのです♪痛くも痒くもないでしょう♪」 彼等は失笑したのである。 「ひょっとして大総統はメトランティス帝国から極東の小国なんかを救済しに…パシフィス共和国の軍部隊を派遣するなんて愚行は発言されないでしょうね?」 大総統は差別主義者の政治家達に呆れ果てる。 「貴方達は現状を何も理解出来ないみたいですね!」 大総統は怒号したのである。すると大総統の怒号に会議室全体が一瞬シーンッと沈黙する。 「何よりも大和神郷国は極東唯一の新興国なのです!彼等の底力を過小評価するのは早計でしょう…」 実質極東方面では大和神郷国が唯一の新興国であり彼等が超大国のメトランティス帝国によって侵略…。属国化すればパシフィス共和国が列強で孤立するのは明白である。孤立するだけなら幸運…。大和神郷国が新興国であったとしても敵対すれば非常に厄介であるのは現実主義者なら誰でも理解出来る。 「新興国の大和神郷国が超大国メトランティス帝国によって属国化すれば非常に厄介なのです!彼等の底力は未知数ですし…メトランティス帝国の属国化だけは阻止しなくては…」 すると一人の議員が発言したのである。 「であれば大総統は一体如何されたいのでしょうか?同盟国の大和神郷国本土にパシフィス共和国の援軍を派遣するのですか?」
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超弩級戦艦桜花姫 ( No.40 ) |
- 日時: 2021/04/05 08:54:05
- 名前: 月影桜花姫
- 一人の議員の問い掛けに大総統は返答する。
「大和神郷国本土へはパシフィス共和国の援軍は派遣させません…不本意ですが彼等には自力で本土を防衛させましょう…」 大総統の発言に差別主義者の議員が発言したのである。 「であれば別に問題無さそうですが?大総統は一体如何されたいのでしょうか?」 問い掛けられた大総統は数秒間沈黙するなり…。 「メトランティス帝国本土に…パシフィス海軍の小規模輸送部隊を上陸させるのです…」 「えっ!?小規模輸送部隊ですと?」 大総統の思考に各議員達は混乱したのである。 「如何してメトランティス帝国本土に…パシフィス海軍の小規模輸送部隊を上陸させるのですか?」 問い掛けられた大総統は即答する。 「今現在メトランティス帝国国内では反政府組織…レジスタンス勢力による反政府運動が深刻化した状態なのです…」 今現在メトランティス帝国国内では現政権への不満から一部の反政府レジスタンス勢力が活動中であり国内ではレジスタンス勢力の暴動が問題視されたのである。通常の暴動程度であれば小規模であり地方の警察隊のみでも鎮圧出来る程度であるが彼等は彼方此方で活動…。メトランティス帝国の警察隊は彼等の鎮圧に難渋したのである。レジスタンス勢力が活動しても現政権はノーダメージでありメトランティス帝国軍は極東の大和神郷国への攻略作戦を閣議決定させる。 「小規模輸送部隊の役目として…大量の食糧品と物資をレジスタンス勢力に提供するのです…」
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