テラトピア大事変 ( No.81 ) |
- 日時: 2023/11/20 19:51:12
- 名前: 戦艦零号
- 新人類は超能力を使用し続けると超能力は更なる覚醒により効力は幅広くなる。新人類の潜在的能力は実質的に未知数とされる。
「本当に…出来るのかな?僕なんかに…」 フィルドルクは自信が皆無であり潜在的能力が覚醒するのか不安だったのである。 「大丈夫だ♪フィルドルクなら出来るさ♪俺が保証する♪」 ストレイダスは笑顔で断言する。 「叔父さん…」 するとストレイダスの肉体が半透明化し始める。 「えっ!?叔父さん…肉体が半透明に…」 「如何やら霊能力は限界みたいだ…俺はもう少しで消滅する…」 「限界なの…叔父さん…」 「フィルドルク…最後だが…」 ストレイダスは笑顔で…。 「俺を超越しろよ…フィルドルク…フィルドルクなら俺を上回れる♪明日からはフィルドルクが本物のスーパーヒーローさ♪」 ストレイダスの肉体は完全に消失したのである。ストレイダスが消滅した直後…。 「ストレイダス叔父さん!?」 フィルドルクは目覚めたのである。 「えっ!?」 フィルドルクは自身の寝室であり室内をキョロキョロさせる。 「心霊現象だったのかな?如何して死んじゃったストレイダス叔父さんが…」 先程自身の夢路にて死去したストレイダスと再会した出来事にフィルドルクは混乱するものの…。 「僕にも…出来るのかな?ストレイダス叔父さん…」 フィルドルクは意識するだけで超能力が発動するのか試行を決意する。
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テラトピア大事変 ( No.82 ) |
- 日時: 2023/11/20 19:53:32
- 名前: 戦艦零号
- 第五話
超能力 本日の放課後…。フィルドルクは学園の裏庭へと移動したのである。 「ストレイダス叔父さんのアドバイスでは…意識するだけで超能力が発動するらしいけど…」 『本当に意識するだけで超能力が覚醒するのかな?』 内心…。昨日夢路にて遭遇したストレイダスの心霊現象も偶然の可能性も否定出来ず超能力は発動しないだろうと思考したのである。 「石ころだ…」 地面の石ころを自身の目前に設置させたのである。 「石ころ…浮遊するかな?」 フィルドルクは恐る恐る両目を瞑目させる。 「石ころよ…空中を浮遊しろ…」 フィルドルクは石ころに命令するのだが…。石ころは依然として浮遊しない。 「石ころは浮遊しないな…」 フィルドルクは再度命令する。 「石ころ!浮遊しろ!」 試行してより数分間が経過…。フィルドルクは必死に思念するのだが目前の石ころはピクリとも動かない。フィルドルクは苛立ち始める。 「畜生!僕には出来ないよ!」 フィルドルクは自身が超能力の才能が皆無であると落胆したのである。 「僕は全然駄目だね…やっぱり石ころは浮遊しないや…」 フィルドルクは超能力が発動せずガッカリする。 「はぁ…やっぱり僕に超能力の才能なんて無かったみたいだね…」 『死んじゃったストレイダス叔父さんの幽霊が出現する時点で可笑しかったのかも知れないね…僕の妄想だったのかな?』 夢路に出現したストレイダスは自分自身の妄想であったと判断したのである。 「仕方ない…戻ろうかな…」 フィルドルクは帰宅する寸前…。 「えっ?」 一瞬であるが背後の石ころがコロッと動いたのである。 『一瞬動いたかな?』
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テラトピア大事変 ( No.83 ) |
- 日時: 2023/11/20 19:55:34
- 名前: 戦艦零号
- フィルドルクは一息する。
『石ころよ…浮遊しろ…』 恐る恐る石ころに思念したのである。数秒後…。依然として動かなかった石ころが上昇し始める。 「えっ!?石ころが浮遊した!?」 石ころは自身の目線と同程度に浮遊…。ピタッと停止する。 『現実なの!?』 フィルドルクは空中浮揚する石ころに驚愕…。 「魔法みたいだ…」 目前の光景が現実なのか理解出来なくなる。 『石ころよ…落下しろ…』 落下を思考すると石ころは一瞬で地面に落下したのである。 「超能力って本当に存在したの?僕に超能力が…」 フィルドルクは先程の超常現象が自身による念力なのか確認したくなる。フィルドルクは帰宅せず近隣に位置する閉鎖中の廃鉱へと移動したのである。 「廃鉱なら好都合だね…」 閉鎖中の廃鉱には無数の岩石やら鉄屑の残骸が確認出来…。超能力を発動するには好都合だったのである。 「今度も其処等の石ころを…」 二十センチメートルの石ころを発見…。 「石ころは校内の裏庭みたいに浮遊するかな?」 先程みたいに石ころが浮遊するのか試行したのである。 『石ころよ…浮遊しろ…』 数秒後…。石ころが容易に浮遊したのである。 「えっ…」 フィルドルクは驚愕する。 「本当に…僕に超能力が?」 今回は裏庭の石ころよりも軽量に感じられたのである。 「落下しろ…」 落下をイメージすると石ころは一瞬で地面に落下する。フィルドルクは恐る恐る背後を凝視…。 「僕に…出来るだろうか?」 フィルドルクの背後に存在するのは先程の石ころより大サイズの岩石である。直径一メートルサイズであり念力で粉砕出来るか思考する。 「此奴を…念力だけで粉砕出来るかな?」
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テラトピア大事変 ( No.84 ) |
- 日時: 2023/11/20 19:57:38
- 名前: 戦艦零号
- 直径一メートルサイズの岩石に思念したのである。
『岩石よ…』 フィルドルクは必死に思念するのだが…。 「砕け散れ!」 岩石は非常に硬質であり容易には粉砕出来ない。 「ビクともしないな…やっぱり岩石を粉砕するのは困難だね…」 困難であると感じるものの…。 「今度こそ…」 フィルドルクは再チャレンジする。 「岩石よ…粉砕しろ!」 先程よりも根強く思念したのである。 「砕け散れ!」 すると数秒後…。岩石の表面よりピキッと罅割れが発生する。 「表面が罅割れた!?」 『今度こそ出来るかも!』 再度思念したのである。 『岩石よ…砕け散れ!』 数十秒間が経過…。直後である。頑強の岩石がバリッと粉砕され…。周囲に砕け散ったのである。岩石の破片が其処等に散乱する。 「はぁ…はぁ…手出しせずに岩石を粉砕出来たぞ♪」 フィルドルクは大喜びしたのである。目標を達成出来たものの…。フィルドルクは極度の疲労により地面に横たわる。 「念力だけで…こんなにも疲れが蓄積されるなんて…」 フィルドルクは体力の消耗に身動き出来なくなる。 『眠たいな…』 直前…。 「貴方…大丈夫かしら?」 「えっ…誰なの?」 最近知り合った女子学生のメラティスが地面に横たわった状態のフィルドルクに恐る恐る近寄る。 「メラティスさん?」 「フィルドルク…動かないでね…」 「えっ?」 メラティスはフィルドルクの腹部に接触したかと思いきや…。消耗した体力が蓄積されたのである。 「一安心だわ…」 メラティスはホッとする。 「感謝するよ♪メラティスさん♪体力が戻ったよ♪ひょっとしてメラティスさんの魔法なの?」 「無論ね…」
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テラトピア大事変 ( No.85 ) |
- 日時: 2023/11/20 19:59:38
- 名前: 戦艦零号
- メラティスは体力の消耗したフィルドルクに回復魔法を使用したのである。フィルドルクはメラティスの回復魔法により体力が回復する。するとメラティスは笑顔で…。
「貴方…超能力の覚醒に成功したのね♪見事だったわ♪」 「えっ?メラティスさん…ひょっとして観察したの?」 「勿論よ♪放課後からね♪」 メラティスは笑顔で即答する。 「えっ…はぁ…」 フィルドルクは苦笑いしたのである。 「フィルドルクは本当にサイコキネシス…超能力を覚醒させたのね♪貴方は正真正銘新人類だったのよ♪」 「僕が新人類…」 『ストレイダス叔父さんの遺言は事実だったのか…』 内心自身が新人類だった事実にフィルドルクは嬉しくなる。 「メラティスさん?」 「何かしら?フィルドルク?」 フィルドルクは深夜の夢路での出来事をメラティスに洗い浚い告白する。 「貴方は夢路で故人の叔父さんと遭遇したのね…」 「叔父さんの未来予知は本当なのかな?」 「本当でしょうね…私も千里眼で海辺を眺望するのだけど…」 メラティスは時たま大海原を眺望するのだが…。二日前に武装した小型船を数隻目撃したのである。不審の小型船は即座に撤収したものの…。メラティスは気味悪くなる。 「私は胸騒ぎを感じるのよ…ひょっとすると近日中に大事件が発生するかも知れないわね…」 メラティスは非常に不安視する。 『メラティスさん…』 彼自身自信は皆無であったものの…。 「メラティスさんは僕が守護するよ♪」 笑顔で断言する。 「フィルドルク…」 フィルドルクの発言にメラティスは一瞬赤面したのである。 『叔父さんを殺した新人類…ウィルフィールドにも対面したいし…』 数分後…。二人は各自の自宅へと戻ったのである。
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テラトピア大事変 ( No.86 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:01:40
- 名前: 戦艦零号
- 第六話
開戦 翌日の早朝…。六時三十分未明である。本拠地の万民解放区より万民解放軍の艦隊が出撃を開始する。旗艦は巨大戦艦一隻と二隻の大型輸送艦が同行したのである。旗艦の巨大戦艦には新人類のウィルフィールドが乗艦する。 「ウィルフィールド大佐♪貴方の活躍を期待しますよ♪」 ブリッジにて艦長が笑顔で発言したのである。 「活躍するも何も…こんな単調の任務で活躍出来なければ全世界を制覇するのは夢物語だ…」 「〔ヘビークイーン〕の威力をテラトピア自由区の人民に知らしめる絶好機です♪」 超弩級要塞戦艦ヘビークイーンは第三次列国大戦で大活躍した超弩級ミサイル艦であり万民解放軍の旗艦である。将兵達からは難攻不落の海上移動要塞とも呼称される。全長は四百メートル規模と規格外に大型であり本艦の装甲は特殊性超硬合金エターナルメタルが駆使され…。エターナルメタルの重厚装甲は大量破壊兵器の超高温でもビクともしない鉄壁の強度である。多数の多目的ミサイル発射機は勿論…。甲板の前方には実弾を超音速で発射出来る電磁投射連装砲が搭載される。甲板の後方には一機の大型輸送機か偵察用の無人機を二機搭載出来る。 「俺が超能力を発揮すればヘビークイーンの出番は無くなるな…」 航行してより三十分後の七時…。一隻の小型船と遭遇したのである。 「所属不明の小型船を発見しました!」 通信兵が報告する。 「所属不明の小型船だと?であればホログラム装置で確認しろ…」 ヘビークイーンには最新式のホログラム装置が搭載されたのである。装置の上部には立体化された海面上と一隻の小型船の立体映像が映写される。
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テラトピア大事変 ( No.87 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:03:42
- 名前: 戦艦零号
- 「此奴はテラトピア自由区の警備艇か…大艦隊である俺達を相手に絶望的だな…」
ウィルフィールドが発言する。 「ウィルフィールド大佐…対艦ミサイルで攻撃しますかね?」 艦長はウィルフィールドに問い掛ける。 「折角の挨拶だ…手始めに攻撃しろ…」 「承知しました…」 艦長はウィルフィールドの指示に承知すると乗組員達に攻撃を命令する。 「警備艇を攻撃…撃沈せよ…」 「はっ!」 乗組員達は即座に行動を開始したのである。 『開戦だ…旧人類同士潰し合うのだな♪』 ウィルフィールドは周囲に失笑する。同時刻…。警備艇の船内では所属不明の大艦隊に騒然とする。 「大型艦艇が三隻も!?演習なのか?」 警備艇の乗組員達は所属不明の大艦隊に警戒したのである。すると一人の乗組員が恐る恐る…。 「中央の大型船は恐らく…第三次列国大戦で活躍したヘビークイーンだろう…」 「ヘビークイーンですと?」 「世界連合に敵対した新枢軸勢力が使用した超大型船舶だ…こんな辺境の海域で遭遇するとは…」
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テラトピア大事変 ( No.88 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:05:43
- 名前: 戦艦零号
- 「であれば所属不明の大艦隊は新枢軸勢力の残党なのか!?」
「新枢軸の残党勢力が出現するとは…一体何が目的なのか?」 「何はともあれ相手が相手だ…俺達では対処出来ない…即刻政府と世界連合に報告しろ!世界連合に援軍を要請し次第…海域を撤退するぞ!」 乗組員達は即座に政府と世界連合に事態を報告したのである。数秒後…。 「ヘビークイーンから対艦ミサイルが多数発射されました!」 ヘビークイーンより十数発もの対艦ミサイルが発射されたのである。 「対艦ミサイルを迎撃しろ!」 警備艇は即座に対空砲で対艦ミサイルの迎撃を開始する。四発の対艦ミサイルの迎撃には成功するのだが…。一発の対艦ミサイルが警備艇の甲板に直撃したのである。直後…。弾薬庫に引火すると警備艇は乗組員諸共轟沈したのである。一方ヘビークイーンの艦内ではウィルフィールドが双眼鏡で確認する。 「他愛無いな…俺達はテラトピア自由区に直進するぞ…」 万民解放軍の大艦隊はテラトピア自由区を目標に直進したのである。一方警備艇からの報告によりテラトピア自由区政府と世界連合は突然の事態に混乱する。
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テラトピア大事変 ( No.89 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:07:43
- 名前: 戦艦零号
- 第七話
高速道路 午前七時…。テラトピア自由区では警戒警報が発令されたのである。突然の警報に国内は混乱し始める。フィルドルクも突然の警報に吃驚…。飛び起きたのである。 「えっ!?何が!?」 『ひょっとして警戒警報?』 フィルドルクは万民解放軍の襲来であると察知する。 『万民解放軍だな…叔父さんの予言は本当だったね…』 ストレイダスの未来予知に驚愕したのである。一方外部では突然の緊急事態に各勤務地は勿論…。各学園も一時的に休校されたのである。一部の学生は学園の休校で大喜びするものの…。数多くの者達が緊急事態に不安視する。すると突如として自室に設置された携帯型ホログラム装置が鳴動したのである。 「うわっ!吃驚した…」 フィルドルクは携帯型ホログラム装置を作動させる。 「フィルドルク?」 ホログラム装置はメラティスの姿形を映写させたのである。 「メラティスさん?」 「こんな朝っぱらから突然御免なさいね…」 「大丈夫だよ♪メラティスさん♪」 メラティスは謝罪するのだがフィルドルクは笑顔で返答する。 「やっぱり貴方の叔父さんの予言は本当だったわね…」 「本当だね…正直僕も吃驚したよ…」 「避難所で合流しましょうね…フィルドルク…」 直後にホログラム装置が停止したのである。すると自室のドアにて父親が入室する。 「父さん?」 「フィルドルク…準備が出来次第避難所に移動するぞ…」 「避難所?」 政府から避難指示が発令されたのである。 「オーケー!父さん!」
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テラトピア大事変 ( No.90 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:09:44
- 名前: 戦艦零号
- フィルドルクは準備を開始する。準備を開始してより数分後…。準備が終了するとフィルドルクは父親と母親との三人で外出したのである。
「如何して突然こんな事態に…」 母親は予想外の出来事にビクビクする。 「俺にも何が何やらサッパリだが…俺達は避難所に移動して命拾いするぞ…」 三人は自家用車で避難所へと移動するのだが…。高速道路の道路上は渋滞であり直進したくても直進出来ない。 「渋滞か…畜生…」 自家用車を運転する父親は非常に苛立った様子である。 「全然走行出来ないわね…」 「こんな状態では避難所には移動出来ないね…如何する?」 今現在では各地の車道が渋滞であり乗用車は走行出来ない。周囲の様子を直視すると乗用車を放棄…。大勢の歩行者が高速の車道を徒歩で通行したのである。 「仕方ないな…俺達も歩くぞ…」 「止むを得ないわね…」 三人は止むを得ず乗用車を放棄…。周囲の歩行者達と同様に徒歩で高速道路を通行したのである。 「私達は避難所に到達出来るのかしら?」 母親が不安視する。 「避難所に到達出来るかは断言出来ないが…何も行動しないよりは…」 一方フィルドルクは沈黙した様子で両親を凝視したのである。 『父さんも母さんも不安みたいだな…僕はストレイダス叔父さんみたいに超能力を覚醒させて…父さんと母さんを安心させたいな…』 フィルドルクと両親が高速道路を移動する同時刻…。魔女のメラティスは自宅の地下壕にて両親と三人で潜伏する。 「パパ?ママ?如何して避難所に移動しないのよ?私達も避難所に移動しましょうよ…こんな場所に待機し続けても…」
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テラトピア大事変 ( No.91 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:11:53
- 名前: 戦艦零号
- メラティスは不満そうな表情で両親に問い掛ける。
「避難所に移動するのは危険だ…移動中に攻撃されたら如何する?何が発生しても可笑しくない状況下だぞ…」 父親は避難所への移動を拒否する。 「俺は十五年前の大戦で大勢の避難民達が空爆で殺された瞬間を間近で目撃したからな…俺の兄貴も避難所に移動したばかりに…」 メラティスの父親は第三次列国大戦で避難所に移動中…。最愛の実兄が空爆で死亡したのである。 「パパ…」 父親の思考も理解出来るのだが…。 『私はフィルドルクと合流したいのに…』 彼女は自身の無力さを痛感する。
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テラトピア大事変 ( No.92 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:14:01
- 名前: 戦艦零号
- 第八話
空爆 三十分後…。万民解放軍の大艦隊はテラトピア自由区の海域へと到達する。二隻の大型輸送艦の飛行甲板より多数の爆撃用ドローンが出撃…。数分間でテラトピア自由区領空へと飛来したのである。テラトピア防衛隊の航空部隊が迎撃を開始するものの…。万民解放軍のドローン兵器は非常に高性能であり航空部隊は圧倒されたのである。各地で空爆が開始される。高速道路からでも空爆の様子が直視出来…。歩行者達は恐怖したのである。フィルドルク自身は比較的冷静であったものの…。両親は大戦のトラウマからか膠着したのである。すると一機の攻撃用ドローンが高速道路上空に急接近…。低空飛行にて逃亡中の歩行者達に対人射撃を仕掛ける。十数人が死傷する。今度はフィルドルクの両親を標的に攻撃を仕掛けるのだが…。 「父さんと母さんには手出しさせないよ!」 フィルドルクは低空飛行の攻撃用ドローンにサイコキネシスを発動する。 「墜落しろ!」 射撃寸前に攻撃用ドローンはフィルドルクのサイコキネシスにより空中分解したのである。フィルドルクの超能力を間近で目撃した父親は驚愕する。 「フィルドルク…超能力を…現実なのか?」 父親はフィルドルクのサイコキネシスに絶句するのだが…。 「貴方…覚醒したのね…」 母親は実弟のストレイダスを連想したのか冷静だったのである。 「母さん…父さん…僕はね…」 フィルドルクは最近超能力が開花した事実は勿論…。夢路にて故人のストレイダスと対面した出来事を一部始終両親に告白したのである。 「フィルドルクは夢路でストレイダスの霊体と接触したのね…ストレイダスは未来予知の内容を貴方に…」
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テラトピア大事変 ( No.93 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:16:18
- 名前: 戦艦零号
- 母親は非常に納得した様子であったが…。
「死者と会話なんて…荒唐無稽の漫画みたいな出来事だな…」 父親は珍紛漢紛だったのである。 「納得出来なくて当然だよ…父さん…」 「俺は常人だから理解するには時間が必要不可欠だけど…内容は荒唐無稽だが超能力は本当に存在するのだな…」 正直理解するには程遠いが…。父親はフィルドルクの告白を闇雲に否定せず信用したのである。 「先程の内容が事実であれば…俺達が想像する以上に今回は相当の一大事だな…」 「貴方は如何するの?フィルドルク?」 「僕は…叔父さんの…ストレイダス叔父さんの継承者として万民解放軍を全身全霊で阻止するよ…」 「フィルドルク一人で…」 「フィルドルク…本気なのね?」 両親の意向としては当然猛反対であったが…。フィルドルクの表情から本気であると察知する。 「危なくなったら絶対に戻りなさいよ…フィルドルク…絶対に死なないでよ…」 「精一杯頑張れよ…フィルドルク…無事に戻れよ…」 「僕は絶対に死なないからね!」 フィルドルクは移動を開始したのである。
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テラトピア大事変 ( No.94 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:18:24
- 名前: 戦艦零号
- 第九話
野望 ドローン兵器による空爆開始から十数分後…。テラトピア防衛隊は疲弊状態であり万民解放軍は陸上部隊による上陸作戦を開始したのである。二隻の大型輸送艦からは合計十二隻もの上陸用舟艇が出撃…。主力戦車を中心とした上陸部隊がテラトピア自由区へと上陸したのである。旗艦ヘビークイーンのブリッジからウィルフィールドが上陸作戦の様子を眺望する。 「今回は俺も参戦するか…」 「大佐も上陸作戦に参加されるのですか!?」 「当然だ…」 周囲の乗組員達は愕然としたのである。 「無茶では…」 周囲の者達は無茶であると感じるものの…。 「私を仕留められる常人は存在しない…貴様達は私の実力を直視するのだな…」 ウィルフィールドは外部へと移動すると甲板にて佇立する。 「はっ!」 ウィルフィールドはサイコキネシスにより自身の肉体を浮遊させたのである。 「えっ…大佐が空中を!?」 「大佐は一体何者!?空中を飛行するなんて…幻覚だろうか?」 空中を浮遊するウィルフィールドにブリッジの乗組員達は驚愕する。一方のウィルフィールドはサイコキネシスで空中を飛行…。数分後に港内へと着地したのである。 「ん?」 『何やら…彼奴に匹敵する効力を感じるな…一体何者だろうか?』 正体こそ不明であるものの…。ウィルフィールドは気配を察知したのである。一方周囲では銃撃戦が展開されるのだが…。ウィルフィールドは無関心だったのである。 「貴様は敵部隊の指揮官か!?覚悟しろ!」 狙撃兵がウィルフィールドを標的に銃弾を発砲する。発砲された銃弾はウィルフィールドの発動したサイコキネシスにより寸前で急停止…。 「なっ!?銃弾が…」
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テラトピア大事変 ( No.95 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:20:52
- 名前: 戦艦零号
- サイコキネシスによって空中浮揚する銃弾に狙撃兵は驚愕する。一方のウィルフィールドは余裕の様子で…。
「鬱陶しい…」 発砲された銃弾はサイコキネシスの発動で狙撃兵に直撃したのである。 「ぐっ!」 銃弾の直撃により狙撃兵は地面に横たわる。 『ん?』 三人の敵兵が各ビルの屋上よりウィルフィールドを標的に設定する。 『狙撃兵が三人か…』 ウィルフィールドは逸早く敵兵の気配を察知…。 「焼死しろ…」 発火能力であるパイロキネシスを発動する。各ビルの狙撃兵は突然の発火によって焼死したのである。すると今度は目前より…。 「今度の相手は重戦車か…俺に対抗するには力不足だな…」 重戦車はウィルフィールドを標的に戦車砲で砲撃したのである。 『こんな程度の攻撃で…』 ウィルフィールドはエレクトロキネシスで電撃のシールドを形成させる。砲弾はシールドの表面に接触すると爆散…。砲撃の無力化に無力化したのである。 「今度は俺が反撃する…」 ウィルフィールドはサイコキネシスを発動すると敵軍の重戦車をペシャンコにスクラップ化させる。 「他愛無いな…敵軍の防衛ラインは容易に突破出来そうだな…」 『ん!?』 ウィルフィールドは気配の正体が気になり極度の胸騒ぎを感じる。 『気配の正体は…一体何者だろうか?新人類か?』 同時刻…。フィルドルクは銃声を目印に港内へと移動したのである。 『胸騒ぎかな?気配を感じる…一体何者なの?』 フィルドルクもウィルフィールドと同様に気配を察知…。極度の胸騒ぎを感じる。数分後…。フィルドルクは万民解放軍の上陸地点である港湾へと到達したのである。港湾には敵味方の将兵達の遺体が彼方此方に確認出来…。地獄絵同然だったのである。
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テラトピア大事変 ( No.96 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:23:36
- 名前: 戦艦零号
- 「戦争の光景…」
想像以上の惨劇にフィルドルクは気味悪くなる。 『父さんと母さんは僕が誕生する以前にこんな惨劇を経験したのかな…』 するとフィルドルクは十五人の敵兵に包囲されたのである。 「貴様は民間人の学生か?こんな場所に一人で参上するとは其処等の凡人達よりは勇敢だが…場違いだな…」 「少年…死にたくなければ大人しく拘束されるのだな…」 フィルドルクは催眠を意識する。 『熟睡しろ…』 数秒間が経過すると周囲の兵士達はサイコキネシスの応用により地面に横たわり…。熟睡したのである。 「兵士達を殺さずに無力化出来たな…」 フィルドルクはホッとする。すると直後…。 「不殺で兵士達を無力化するとは…見事だな…少年…」 「えっ?誰なの?」 突如としてフィルドルクの目前より背広姿の男性が近寄る。 「少年よ…貴様の正体は新人類だな…」 男性は一目でフィルドルクが新人類であると洞察したのである。 「如何して貴方は僕を新人類だって…貴方は一体何者ですか?」 フィルドルクは恐る恐る男性に問い掛ける。 「俺の名前はウィルフィールド…少年と同様に新人類の一人さ…」 ウィルフィールドは自身を新人類の一人と自負する。 「新人類…」 するとウィルフィールドはフィルドルクの両目を直視…。 「少年は彼奴に近似する…」 「彼奴って?誰ですか?」 「ストレイダスと名乗る新人類に…」 ストレイダスの名前にフィルドルクはピクッと反応する。 「ストレイダスって…貴方が…ストレイダス叔父さんを…」 「叔父さん?ストレイダスは貴様の叔父だったのか…」 ウィルフィールドは納得したのである。 「やっぱり貴方が叔父さんを殺害した張本人だったのですね?」
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テラトピア大事変 ( No.97 ) |
- 日時: 2023/11/20 20:25:40
- 名前: 戦艦零号
- ウィルフィールドは身震いし始める。
「如何して貴方は叔父さんを殺害したのですか!?」 普段は温厚の性格であるフィルドルクであるが…。今回ばかりは非常に感情的だったのである。 「私がストレイダスを殺害した理由か…私は二年前に万民解放区に潜入した彼奴を新人類の仲間として勧誘したのだが…」 二年前…。諜報員として万民解放区に潜入したストレイダスは不運にも万民解放軍の偵察部隊と遭遇したのである。自身の超能力で偵察部隊を圧倒するもウィルフィールドが介入…。ウィルフィールドの介入によりストレイダスは拘束されたのである。ウィルフィールドは自身の野望にストレイダスに協力を一方的に要求するのだが…。 「俺は彼奴に腐敗した世界連合は勿論…世界連合を牛耳る〔ソロポスト共和国〕の滅亡に協力しないかと要求したのだが…ストレイダスは俺の要求に拒否した…彼奴も俺と境遇は一緒だろうに…」 僅少であるがウィルフィールドは感情的だったのである。 「如何してウィルフィールドは世界連合とソロポスト共和国を滅亡させたいのですか?」 フィルドルクが恐る恐る問い掛ける。 「ソロポスト共和国は俺の祖国だったが…」 ソロポスト共和国は超大国であり今現在全世界の覇権国家である。ウィルフィールドはソロポスト共和国出身者であったが…。ソロポスト共和国は正真正銘の差別大国であり当然として新人類も差別の対象だったのである。 「差別…」 「俺は新人類としての性質上…身内の奴等からも差別されたのだ…」 「身内からも…」 フィルドルクは絶句する。 『ストレイダス叔父さんも…母さん以外の人間達に…』
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テラトピア大事変 ( No.98 ) |
- 日時: 2023/11/20 21:04:52
- 名前: 戦艦零号
- ストレイダスもフィルドルクの母親以外の人間達から差別され…。数多くの者達から迫害されたのである。フィルドルクは返答出来ず沈黙する。
「俺は祖国を見限り…本来なら敵国である万民解放軍に寝返ったのだ…」 ウィルフィールドが万民解放軍に協力するのは世界連合と同組織を牛耳るソロポスト共和国の滅亡である。 「俺も正直…ストレイダスは殺したくなかった…新人類の同志として彼奴と一緒に世界を改善させたかったのに…非常に残念だ…」 拘束されたストレイダスであるが…。ウィルフィールドの協力には拒否したのである。 「ストレイダスは何を血迷ったか…愚劣なる旧人類が支配し続けるこんな腐敗した世界を守護しても無意味だろうに…何故ストレイダスは奴等に協力するのか俺には理解出来ない…」 するとフィルドルクは恐る恐る…。 「貴方の目的は…新人類が差別されない世界の構築ですか?」 フィルドルクの問い掛けにウィルフィールドは嬉しそうな表情で返答する。 「勿論だとも♪目的を達成するには数多くの犠牲が必要不可欠だが…」 ウィルフィールドはフィルドルクに名前を問い掛ける。 「少年よ…貴様の名前は?」 「僕の名前は…フィルドルク…」 「フィルドルクか…」 ウィルフィールドは一瞬瞑目する。 「新人類として俺に協力しろ…フィルドルク…」 「はっ?」 フィルドルクはウィルフィールドの予想外の発言に拍子抜けしたのである。 「協力なんて…」 フィルドルクは拒否する。 「貴方は過去に迫害されたのかも知れませんが…僕にとって貴方は悪人です!叔父さんを殺した張本人と協力なんて出来ません…」
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テラトピア大事変 ( No.99 ) |
- 日時: 2023/11/20 21:07:23
- 名前: 戦艦零号
- 「当然の返答だよな…突然見ず知らずの人間から協力を要請しても拒否するのは当然の返答だ…」
「貴方は一体何を?」 するとウィルフィールドは上空を眺望したのである。 「此処からだと確認出来ないが…」 「えっ?上空?」 「テラトピア自由区の成層圏上空には万民解放軍の衛星兵器…〔リバースキャノン〕が存在する…」 「リバースキャノン?」 リバースキャノンとは万民解放軍が開発した試作型光学衛星兵器…。戦略兵器である。高出力の高エネルギーを成層圏上空から発射出来…。大都市部を一撃で焦土化させる威力とされる。第三次列国大戦にて万民解放軍が開発した戦略兵器であるが完成直前に終戦…。第三次列国大戦では使用されなかったのである。 「少なくとも首都はリバースキャノンの一撃で焦土化するだろうよ…」 「首都が一撃で…」 フィルドルクは畏怖したのである。 「如何する?俺に協力すればリバースキャノンの発射を中止するし…上陸部隊を撤退させるぞ…フィルドルクにとって苦渋の選択だ…」 「えっ…苦渋の選択…」 ウィルフィールドの発言にフィルドルクは反応する。 「貴様の選択によってテラトピア自由区の運命が決定される…」 「貴方の…目的は?」 フィルドルクは警戒した様子で恐る恐るウィルフィールドに問い掛ける。 「俺の目的は世界各地に存命する新人類が迫害されない新世界の構築だ…」 「新人類が迫害されない新世界?」 「俺の目的に協力すればフィルドルクの家族は勿論…友人も命拾い出来るぞ…」 「僕には…」 一息したのである。 「やっぱり貴方には賛同出来ません…」 フィルドルクは再度拒否する。
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テラトピア大事変 ( No.100 ) |
- 日時: 2023/11/20 21:10:21
- 名前: 戦艦零号
- 「如何しても拒否するか?フィルドルク…貴様の選択によって大勢の人間達が抹消されるのだぞ…貴様は極悪非道の悪魔だ…」
ウィルフィールドはフィルドルクを極悪非道の悪魔であると指弾したのである。 「貴様には失望したよ…フィルドルク…」 ウィルフィールドは無表情であるが…。内心ではガッカリしたのである。 「仕方ない…であれば実力行使だ…」 「実力行使?」 ウィルフィールドは両手より電撃を発動したのである。 「うわっ!ぎゃっ!」 フィルドルクはウィルフィールドのエレクトロキネシスにより全身が麻痺する。エレクトロキネシスは本来拷問として使用される超能力である。 「非常に残念だよ…フィルドルク…貴様も俺に拒否するとは…」 『所詮は愚か者達だ…フィルドルクもストレイダスも…俺達は新人類同士…未来永劫仲良く共闘出来たのに…』 ウィルフィールドは新人類として彼等と仲良くしたかったのだが…。フィルドルクの拒否によって自身の目的は達成出来ないと自覚する。一方のフィルドルクは身動き出来ず…。涙腺より涙が零れ落ちる。 『ストレイダス叔父さん…僕は如何すれば?結局僕は…ウィルフィールドに殺されちゃうのかな?』 最期を覚悟したフィルドルクであるが…。 『フィルドルク…』 『えっ?』 フィルドルクの脳裏よりストレイダスの霊体が出現する。 『叔父さん?』 『反撃しろ…フィルドルク♪フィルドルクなら出来るさ…』 『叔父さん…僕は…』 フィルドルクは覚悟したのである。 「ぐっ!」 フィルドルクはウィルフィールドの電撃エネルギーを体内に吸収し始める。 「ん?」 『フィルドルクは…俺の電撃を吸収するとは…』
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